三略 第2章

中略

この章のポイント(3行サマリー)

  • リーダーの権威は、その「あり方」から生まれる。
  • 発言は簡潔に、命令は一度きり。
  • 賞罰は、私情を挟まず、光のように速やかに行う。
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古典原文(書き下し文)

古典に興味のある方向け

重要キーワード解説

📜権(けん)

権力、権威、はかりごと。状況に応じて最適な判断を下すための、リーダーの裁量権。

📜他人の意見に惑わされず

他人の意見に惑わされず、自らの判断で物事の本質を見抜くこと。リーダーに求められる孤独な決断の重要性を示す。

📜賞は太陽のようにあまねく与え

賞は太陽のようにあまねく与え、罰は雷のように厳格かつ迅速に行うべきであるということ。賞罰の明確さと迅速性の重要性を説く。

現代語訳

そもそも三皇の政治は、言葉がなくても教化が行き渡った。帝王の政治は、徳によって人々を感化させた。覇者の政治は、権力によって人々を屈服させた。

...(省略)
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現代に活かすための「原理原則」

権威の三つの段階:理想的なリーダーシップは言葉すら不要で自然に従われる境地だが、現実的には徳による感化、必要に応じて権力による統制の段階的なアプローチが必要。

簡潔性と明確性の原則:信頼される指導者は少ない言葉で的確に指示し、一度下した命令は確実に実行させる一貫性を持つ。

決断における孤独性:重要な決定は他人の意見に左右されず、自らの判断で行うべきであり、人事評価は個人的感情を排した公平性が求められる。

バランスの取れた資質:優秀なリーダーは相反する特質(静と動、強と弱、厳と優)を状況に応じて使い分ける柔軟性を持つ。

長所の落とし穴への警戒:勇気、知恵、信義、仁愛、清廉といった美徳も、極端になると組織運営の障害となるため、適度なバランスが重要。

現代への問いかけ

  1. あなたは日頃から、言葉以前に「あり方」で影響力を発揮できていますか?それとも多くの説明が必要ですか?

  2. 指示や命令を出すとき、簡潔で明確になっていますか?一度決めたことを一貫して実行していますか?

  3. 重要な判断をする際、他人の意見に振り回されず、最終的に自分の責任で決断していますか?

  4. 優しさと厳しさ、強さと柔軟性など、相反する特質を状況に応じて使い分けられていますか?

  5. 自分の長所や美徳が極端になって、かえって組織や人間関係の妨げになっていないか定期的に振り返っていますか?