下略
この章のポイント(3行サマリー)
- 組織の衰退は、必ず内部から始まる。
- 賢者の声が届かず、媚びへつらう者ばかりが重用される。
- 規律は乱れ、私利私欲が横行する。
古典原文(書き下し文)
古典に興味のある方向け
重要キーワード解説
📜舎賢(けんをすつ)
賢者を遠ざけ、用いないこと。組織が衰退に向かう、最も危険な兆候の一つ。
📜口先だけで
口先だけで、中身のない巧みな弁舌。実力よりも、このような人物が評価されるようになると、組織は危険な状態にある。
📜人として踏み行うべき道
人として踏み行うべき道。私利私欲に基づかない、普遍的な正しさ。組織の根幹をなす最も重要な価値観。
現代語訳
そもそも三つの略は、聖人の事業であり、王者の務めである。故に上略は、賢者を登用し、有能な者に任務を与え、敵国を屈服させ、天下を安泰にするためのものである。中略は、人物を推し量り、物事を察し、強弱を見分け、成否を明らかにするためのものである。
現代に活かすための「原理原則」
組織衰退の逆説的構造:組織の危機は外部からではなく内部から始まり、賢者を遠ざけ、へつらう者を重用することで自滅への道を歩む。
人材の三層評価軸:真に価値ある人材は、徳(人格)、才(能力)、命(時運)の三要素を兼ね備え、一つでも欠けると組織にとって不完全な存在となる。
人心掌握の四要素:組織の忠誠心は、徳への憧憬、恩への感謝、功績への記憶、義への献身という情感に基づく結びつきによって維持される。
失敗の体系的パターン:組織の敗北は偶然ではなく、戦略の無知、人心の離反、制度の機能不全、情報の不正確さという特定の要因によって必然的に起こる。
道徳的基盤の重要性:短期的な利益や技術的優位性よりも、長期的な道徳的基盤と善悪の明確な区別が組織の持続可能性を決定する。
現代への問いかけ
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あなたの組織は、真に有能で誠実な人材を重用していますか?それとも上司に取り入るのが上手な人が昇進していませんか?
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人材を評価する際、能力だけでなく人格や倫理観も重視していますか?また、その人がチャンスを活かせるタイミングも考慮していますか?
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組織のメンバーとの関係を、単なる雇用関係ではなく、人間的な信頼や感謝の絆で結ぼうとしていますか?
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プロジェクトや事業が失敗した時、運や外部要因のせいにせず、内部の体系的な問題を分析していますか?
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短期的な成果や効率性だけを追求せず、長期的な価値観や倫理的基盤を大切にしていますか?