中巻：重要な要素
この章のポイント（3行サマリー）
- 強い組織を作る要素は、突き詰めれば「天・地・人」の三つに集約される。
- 「天」は変化のタイミング、「地」は環境の優位性、「人」はリーダーの質とメンバーの士気。
- 特に「人」が最も重要であり、明確な規律と情報共有、そして信頼に基づく人心掌握こそが、組織の成否を決定づける。
古典原文（書き下し文）
古典に興味のある方向け
重要キーワード解説
📜 天の時
タイミング、好機、季節や天候の変化など、人間がコントロールできない時間的な要因。
📜 地形の有利さ
地形の有利さ、市場環境、物理的な場所の優位性など、空間的な要因。
📜 リーダーの質
リーダーの質、組織の士気、規律、訓練度など、人間に関する要因。三要素の中で最も重要とされる。
現代語訳
唐の太宗が言った。「私は古今の兵法書を読んだが、その説では、天の時、地の利、人の和が、勝敗の決め手だとしている。しかし、時には天の時に従っても敗れ、地の利に逆らっても勝つことがある。
現代に活かすための「原理原則」
揠予素篇の核心は、情報收集と分析に基づく的確な意思決定の重要性にあります。現代のビジネスや人生において、憶測や直感ではなく、信頼性の高い情報に基づいた戦略立案が成功の鍵となります。
「論兵の迫り」（情報録先主義）：敵の虚実、動静、遠近、険易を必ず先んじて知ることで、不確実性を排除します。現代では、市場調査、競合分析、顧客ニーズの把握、技術トレンドの理解などを先行して入手し、戦略の精度を高めます。
「盲人の夜道歩きの危険性」（無知のリスク）：情報なき行動は、明確な方向性を欠き、必然的に失敗に結びつきます。市場の動向を把握せずに新製品を発表したり、顧客の声を聞かずにサービスを変更したりすることの危険性を認識します。
「彼我を知る」（総合的状況把握）：相手の状況だけでなく、自分の能力、リソース、置かれた環境を客観的に分析します。自社の強みと弱み、市場ポジション、競合他社の動向を総合的に把握し、最適な戦略を立案します。
「百戦不殆の原則」（継続的成功の基盤）：一度の成功ではなく、継続的に勝利し続けるためのシステムやプロセスを構築します。常に情報を更新し、学習し、適応し続ける組織や個人であり続けます。
現代では、マーケティング、競合分析、事業企画、投資判断など、情報に基づく意思決定が求められるあらゆる分野で応用できます。