六韜

太公望が周王朝の創建者に伝授した軍事戦略書。戦略立案と組織運営の原理を説く。

春秋時代の軍師太公望が、周の文王・武王に授けたとされる軍事戦略書。文韜・武韜・龍韜・虎韜・豹韜・犬韜の6部から構成され、戦略の立案から実行まで体系的に論じています。

六韜 全6章

文師第一

1
真のリーダーシップとは、権力で人を従わせるのではなく、ビジョンや利益を分かち合うことで、優れた人材を自然と惹きつける力です。 目先の利益(小魚)を追うのではなく、壮大な目標(大魚)を掲げ、関わる全ての人々と成功を共有する。 その姿勢こそが、偉大な事業を成し遂げるための唯一の道です。
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盈虚第二

2
組織の盛衰は、景気や運といった外的要因ではなく、リーダーの「あり方」で決まります。 私利私欲を捨て、質素倹約に努め、公正な評価を行う。 その姿勢が、メンバーの信頼と豊かさを生み、組織を盤石にするのです。
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国務第三

3
組織運営の要諦は、メンバーを「愛する」こと、ただ一点に尽きます。 それは、彼らの生活基盤を安定させ、過度な負担をかけず、その努力が正当に報われる環境を整えること。 リーダーが、親が子を思うようにメンバーを思いやれば、組織は自ずと栄えるのです。
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大礼第四

4
優れたリーダーは、決して自分の知識や判断を過信しない。 自らは、天のように高く、淵のように深く、静かに構える。 そして、組織のメンバー全員の目と耳と心(集合知)を用いて、物事を判断する。 個人の視点を超え、全体の知恵を集約して初めて、最善の意思決定が可能となるのだ。
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明伝第五

5
組織の繁栄は、正しい価値観(義)が、個人の欲望(欲)に打ち勝つことで実現する。 そして、その価値観は、日々の勤勉さ(敬)によってのみ、維持される。 リーダーが後継者に伝えるべき最も重要なこと。それは、小手先の技術ではなく、この「義」と「敬」という、組織存続のための普遍的な原理原則なのである。
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六守第六

6
リーダーの最も重要な仕事は、人材を見極め、権限を委譲することにある。 しかし、その前提として、富、地位、困難といった様々な状況で人を試し、その本質を見抜かなければならない。 そして、経済の根幹をなす「三宝」は、決して他人に委ねてはならない。 この「人を見抜く眼」と「手放してはならないもの」の区別こそが、組織の安定を左右する。
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守土第七

7
組織の安定は、小さな問題を見過ごさず、事前の対処を徹底することにかかっている。 「涓涓塞がざれば、将に江河と為らん」。 そして、最も重要な権限(利器)は、決して他人に貸し与えてはならない。 この危機管理の原則と、権限の境界線を守ることこそが、リーダーの最も重要な務めである。
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守国第八

8
優れたリーダーは、自然のサイクル(春夏秋冬)に逆らわない。 成長期(夏)には積極的に活動し、収穫期(秋)には利益を確実に確保し、冬の時代には、静かに力を蓄える。 そして、平時にはその存在感を消し、組織が危機に陥った時にこそ、その真価を発揮する。 この自然なリズムに合わせたリーダーシップこそが、組織を持続的に成長させる。
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上賢第九

9
組織の健全性は、リーダーが何を尊び、何を退けるかによって決まる。 賢明なリーダーは、誠実さを取り、偽りを去る。そして、組織を蝕む「六賊七害」を断固として排除する。 私利私欲に走る者、徒党を組む者、口先だけの偽善者…。 これらの害悪を見抜き、排除する厳しい姿勢こそが、組織を成功に導く。
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挙賢第十

10
「賢者を登用する」と口で言うだけでは意味がない。 世間の評判や、社内の人気投票で人材を選べば、派閥が生まれ、組織は必ず腐敗する。 重要なのは、役職(名)と、その人物が持つ実際の能力(実)を、厳密に一致させること。 この「名実一致」の原則こそが、真に強い組織を作るための唯一の道である。
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賞罰第十一

11
組織を動かす「賞」と「罰」は、その信頼性が命である。 「必ず実行される」という絶対的な信頼があって初めて、人々はルールを守り、目標に向かって努力する。 リーダーが一度でも例外を認め、一貫性を失えば、その権威は地に落ちる。 信頼される評価制度こそが、組織文化の根幹をなすのだ。
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発啓第十二

12
事を起こすには、タイミングが全てである。 天(外的要因)と人(内的要因)に、変化の兆候が現れるのを待つ。 そして、行動を起こす際には、決して私利私欲であってはならない。 「天下は天下の天下なり」。利益を分かち合うという大義を掲げて初めて、人々は心から協力し、偉大な事業は成就するのだ。
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文啓第十三

13
最高のリーダーシップとは、何もしていないように見えることである。 リーダーが自らの力を誇示せず、静かに構えることで、組織は自然と良い方向に導かれる。 人々は、流れる水のようなもの。無理に流れを堰き止めようとせず、ただ進むべき方向を指し示せば、自ずとそこに集まってくるのだ。
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文伐第十四

14
最強の相手を打ち負かすには、物理的な攻撃は最後の手段である。 まず、相手の欲望を利用し、内部の忠誠心を切り崩し、組織を内側から腐敗させる。 贅沢、賄賂、不和の種…。これらの「見えざる武器」を駆使して、相手の力を削ぐ。 戦う前に勝敗を決する、究極の非破壊戦略である。
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順啓第十五

15
リーダーシップの本質は、六つの資質に集約される。 寛容さ、信頼性、慈悲、恩恵、権威、そして決断力。 これらの資質で人々を包み込み、利益をもたらす者には、世界は自ずと門戸を開く。 世界は一人のものではない。ただ、徳ある者のために存在するのだ。
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兵道第十六

16
物事の本質は、突き詰めれば「一」に集約される。 そして、その本質を動かす力は、リーダー(君)ただ一人に宿る。 成功の鍵は、常に最悪の事態(亡、殃)を想定し、その上で、欺瞞と柔軟性を駆使して、相手の意表を突くこと。 一点に集中し、予測不能な動きで、勝利を掴むのだ。
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三疑第十七

17
格上の相手を打ち負かすには、正面からのぶつかり合いは避けなければならない。 相手をさらに傲慢にさせ、その油断を誘う。そして、相手が最も大切にするものを利用して、内部から切り崩していく。 力で劣るならば、知恵と心理戦で勝つ。これこそが、弱者が強者に勝つための、唯一の道である。
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王翼第十八

18
偉大なリーダーは、決して一人で全てを成し遂げようとはしない。 自らの「翼」となる、多様な専門家集団を組織する。 戦略家、分析家、技術者、広報担当…。 それぞれのプロフェッショナルに権限を委譲し、その能力を最大限に活かすこと。 これこそが、巨大で複雑なプロジェクトを成功に導く、唯一の方法論である。
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論将第十九

19
リーダーの資質は、五つの才能(勇、智、仁、信、忠)で測られる。 しかし、これらの才能は、行き過ぎれば十の過ち(無謀、性急、強欲など)へと転じる諸刃の剣である。 真に優れたリーダーとは、自らの強みと弱みを客観的に把握し、暴走を自制できる人物。 そして、相手の弱点を的確に見抜き、そこを突くことができる戦略家なのである。
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選将第二十

20
人の本質は、見た目や言葉だけでは決して見抜けない。 温厚そうに見えて、裏では人を陥れる者。ぼんやりしているようで、実は誰よりも誠実な者。 真のリーダーとは、表面的な印象に惑わされず、「八つの試練」を通じて、その人物の隠された本性を見抜くことができる人物である。
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立将第二十一

21
リーダーを任命するということは、その成功の全権限と、失敗の全責任を、その人物に託すという覚悟の表明である。 「これより上、天に至るまで、将軍之を制せよ」。 一度任せると決めたなら、現場の判断に口出しをしてはならない。 この絶対的な信頼と権限移譲こそが、リーダーの能力を最大限に引き出し、組織を勝利に導く。
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将威第二十二

22
リーダーの威厳は、どこから生まれるのか。 それは、影響力の大きい人物(貴大)の過ちを、断固として罰する厳格さ。 そして、組織の末端で働く、目立たない人物(貴小)の善行を、見逃さず賞賛する公平さ。 この「非情なまでの公正さ」こそが、組織に絶対的な規律と、リーダーへの揺るぎない信頼をもたらすのである。
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励軍第二十三

23
メンバーに最高のパフォーマンスを求めるなら、リーダーはまず、自らが彼らと「同じ釜の飯を食う」覚悟を示さねばならない。 冬の寒さも、夏の暑さも、泥濘での労苦も、空腹の辛さも、全てを分かち合う。 この「苦楽を共にする」姿勢こそが、メンバーの心を打ち、彼らを自発的な行動へと駆り立てる、最強の動機付けとなるのだ。
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陰符第二十四

24
組織の命運を左右するような機密情報は、決して平文で伝えてはならない。 状況に応じて、長さを変えた「陰符」を用いることで、情報の重要度と内容を、当事者以外には決して悟られることなく、正確に伝達する。 この秘密のコミュニケーションルールこそが、外部の妨害や情報漏洩から組織を守る、最後の砦となる。
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陰書第二十五

25
極めて重要な機密情報は、決して一人の人間や、一つの経路で伝えてはならない。 情報を三つに分割し、三人の異なる人物に、別々の経路で運ばせる。 たとえ一人が捕らえられても、情報の全体像は決して漏れることはない。 この徹底した権限と情報の分割こそが、組織の生命線を守る、究極のリスク管理術である。
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二十六章:軍勢第二十六

26
軍の勢いについて説く。戦略の機動性、先制攻撃の重要性、決断力の必要性を論じている。組織の競争力を決定するスピードと勢いの本質について深く分析した戦略論である。
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二十七章:奇兵第二十七

27
奇策部隊について説く。地形活用、変化に富んだ戦術、将軍の品格(仁・勇・智)を論じている。既存の常識を覆す創新的な戦略と、それを実行するリーダーの資質について詳述している。
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二十八章:五音第二十八

28
五行思想に基づく音響偵察について説く。敵情の察知方法と情報収集技術を論じている。微細な変化から重要な情報を読み取る高度な分析手法が記されている。
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二十九章:兵徴第二十九

29
勝敗の兆候について説く。戦闘前の勝敗判断と軍の状態による強弱の見極め方を詳述している。組織の健全性診断と早期警戒システムの構築に関する実践的な指南書である。
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三十章:農器第三十

30
農具と軍事装備について説く。平時の農具と戦時の軍事装備の対応関係を論じ、平和と戦争の準備の一体性を詳述している。リソースの多目的活用と平時の準備の重要性を説いた先見的な理論である。
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三十一章:軍用第三十一

31
軍事作戦に必要な装備・兵器の詳細な分類と数量について説く。一万人の軍隊に必要な攻城兵器、防御装備、工兵器具、渡河装備などを体系的に列挙し、十分な装備が戦力の源泉であることを示した組織運営の基本原理である。
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三十二章:三陣第三十二

32
戦略の三つの基本要素「天陣」「地陣」「人陣」について説く。天体の運行、地形の利用、兵力配置それぞれの特徴を論じ、戦略立案における包括的な環境分析の重要性を示した戦略論の原点である。
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三十三章:疾戦第三十三

33
包囲され孤立した状況からの脱出方法について説く。迅速で爆発的な攻撃により敵軍を混乱させ、縦横無尽に駆け巡って突破する戦術を論じ、危機対応における速度と集中の重要性を示した実践理論である。
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三十四章:必出第三十四

34
絶望的な包囲状況からの脱出方法について説く。夜間行動、決死の覚悟の作戦、特殊装備の使用、後衛による追撃者の阻止などを論じ、極限状況における計画的突破戦術の体系を示した危機管理の実践論である。
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三十五章:軍略第三十五

35
困難な地形や悪天候に対する準備の重要性について説く。あらゆる状況に対応できる特殊装備と兵士の習熟の必要性を論じ、事前準備が心配を取り除き、確実な実行を可能にすることを示した危機管理の基本原理である。
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三十六章:虎韜・攻營第三十六

36
敵の陣営を攻撃する際の戦略を説く。直接攻撃ではなく、敵の弱点を見極め、補給を断ち、士気を削ぐことで勝利を得る方法を示した。現代の競争戦略においても、真正面からの対決より、相手の弱点を突く戦略の重要性を教えている。
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第三十六章:臨境第三十六

37
敵と境界で対峙する際の戦術について説く。前軍で堅固な守備態勢を整え、後軍で物資を集積し、銳士で敵の虚を突く三段階戦術を示す。敵の情報収集に対する欺瞞戦術も含む、多層的な境界線作戦の基本原理である。
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第三十七章:動静第三十七

38
敵の陣形を動揺させる心理戦術について説く。多方面からの包囲攻撃により敵の恐怖心を煽り、内部結束を破綻させる戦法を示す。伏兵と陽動作戦を組み合わせた複合戦術により、敵の士気を根本的に破壊する戦略である。
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三十七章:虎韜・軍戰第三十七

39
大規模な戦闘における指揮統制の要点を説く。複数の部隊を統一的に指揮し、各部隊の特性を活かして連携させることで、全体として大きな力を発揮する方法を示した。現代の大規模組織運営における部門間連携の重要性を教えている。
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第三十八章:金鼓第三十八

40
悪天候や困難な状況下での軍の統制と警戒体制について説く。継続的な警戒により敵の夜襲を防ぎ、敵の疲労を誘発する戦法を示す。組織的な警戒システムと迅速な対応により、困難な状況でも確実に優位を保つ危機管理の原理である。
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三十八章:虎韜・略地第三十八

41
敵の領土を攻略する際の戦略を説く。単に占領するだけでなく、その地の民心を得て安定した統治を行う方法を示した。現代の事業拡大や新市場開拓において、単に参入するだけでなく持続的な成功を収める戦略の重要性を教えている。
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三十九章:虎韜・士勢第三十九

42
兵士の士気と戦闘力を最大化する方法を説く。個々の兵士の能力を引き出し、集団として強力な戦闘力を発揮させる指導法を示した。現代の人材マネジメントにおいて、個人の能力を最大化し、チーム全体のパフォーマンスを向上させる方法を教えている。
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第三十九章:絶道第三十九

43
補給路を絶たれた状況での対処法について説く。地形の利用と前方警戒により補給路の確保を図り、万一の事態に備えた多重防御体制を構築する戦法を示す。戦略的な立地選択と組織的な警戒により、危機的状況でも生存を確保する危機管理の原理である。
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第四十章:略地

44
難攻不落の相手を攻略するには、力押しは最悪の選択です。 まず相手の協力者や支持基盤を切り崩して孤立させ、心理的な「逃げ道」を用意して抵抗を和らげます。 最後は「罪は一人に在り」と唱え、寛容さを示すことで、組織や市場全体を味方につけるのです。
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第四十一章:火戦

45
絶体絶命の危機(火事)に陥った時、ただ逃げるだけでは被害が広がるばかりです。 発想を転換し、自ら「迎え火」を放ち、燃えるものをなくしてしまうことで、延焼を食い止め、安全地帯を確保する。 これは、危機そのものを利用して、状況をコントロールする究極のリスク管理術です。
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第四十二章:塁虚

46
相手の真の状況は、公式発表や表面的な情報だけでは決して分からない。 静寂、鳥のさえずり、現場の空気感といった、見過ごされがちな微細な兆候にこそ真実が宿る。 特に、相手の不自然な動きや焦りは、内部の混乱を示す絶好のチャンスである。
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第四十三章:林戦

47
見通しの悪い不確実な状況(森林)では、闇雲に動くのは危険です。 まず、障害を取り除き、行動の自由と視界(道)を確保することが最優先。 守りを固めつつ、状況に応じて最適なリソースを投入し、交代制で挑むことで、消耗を防ぎ、長期的な成功を掴むのです。
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第四十四章:突戦

48
突然の奇襲という最大の危機にこそ、最大の好機は潜んでいます。 あえて弱さを見せて相手を誘い込み、周到に準備した罠にかける。 相手が勝利を確信した瞬間、隠しておいた全力で反撃し、挟み撃ちにする。 これは、不利な状況を逆転させる、極めて攻撃的なカウンター戦略です。
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第四十五章:敵強

49
リソースで劣る状況で、格上の相手から攻め込まれた場合、守りに徹するのは最悪の選択です。 むしろ、少数精鋭のチームを複数に分け、相手の弱点を多方面から同時に突くべきです。 明確な合図で連携し、相手を混乱の渦に陥れることで、戦力差を覆し、勝利を掴むことが可能となります。
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第四十六章:敵武

50
総崩れに見える「敗走」の状況は、実は最大のチャンスになり得ます。 意図的に負けを装うことで相手を油断させ、追撃してきたところを伏兵で討つ。 絶望的な状況そのものを「おとり」として利用し、戦局を覆す。 これは、失敗を次なる成功の布石とする、究極の逆転戦略です。
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第四十七章:烏雲山兵

51
一見、有利に見えるポジションこそ、最大の危険地帯となりえます。 見晴らしの良い高台は、四方から狙われる弱点も同居するのです。 光の当たる場所だけでなく、その影となる部分にも備え、あらゆる可能性を想定する。 この立体的な思考こそが、盤石な体制を築くための鍵となります。
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第四十八章:烏雲沢兵

52
資源が枯渇し、極めて不利な状況では、現状維持は緩やかな死を意味します。 このような状況を打破する唯一の方法は、自ら動いて「変化」を創り出すこと。 偽りの行動で相手を有利な場所から引きずり出し、予測不能な動きで翻弄し、決定的な一撃で勝負を決めるのです。
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第四十九章:少衆

53
リソースで劣る弱者が強者に勝つためには、正面衝突は絶対に避けなければなりません。 まず、時間や場所といった「地の利」を最大限に活用し、相手の土俵で戦わないこと。 それが無理なら、情報操作で相手を不利な状況に誘い込む。 そして何より、自らの限界を認め、謙虚に外部の助け(同盟)を求めることが最も重要です。
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第五十章:分険

54
互いに牽制し合う膠着状態では、現状維持は衰退への第一歩です。 リスクを恐れず、まずはこちらから行動を起こし、主導権を握ることが不可欠。 創意工夫で障害を乗り越え、反撃の拠点を築き、持続可能な体制で粘り強く攻め続ける。 これこそが、停滞した状況を打破し、勝利を掴むための王道です。
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第五十一章:分合

55
大規模なプロジェクトを成功させる秘訣は、徹底した規律にあります。 まず、リーダーは明確な目標と絶対的な期限を設定し、全メンバーに共有する。 期限より早く成果を出した者には賞賛を、遅れた者には厳しい結果を。 この信賞必罰の徹底こそが、組織の実行力を最大化させるのです。
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第五十二章:武鋒

56
成功の鍵は、行動の「タイミング」が全てを握っています。 相手には、必ず攻めるべき「十四の隙」が存在する。 準備不足、疲労、混乱、恐怖…これらの決定的な瞬間を見逃さず、 機を見るに敏にリソースを集中させれば、いかなる競争にも勝利することができます。
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第五十三章:練士

57
組織の強さは、メンバーの均質化ではなく、多様な才能と動機をいかに引き出すかにかかっています。 復讐心、名誉欲、ハングリー精神…人間の根源的な動機は、計り知れないエネルギーを生み出します。 個々のポテンシャルを見極め、最も輝ける場所を提供する。これこそが究極のタレントマネジメントです。
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第五十四章:教戦

58
強い組織は、一人の天才ではなく、再現性のある「仕組み」によって作られます。 まず、一人のエースの技術を、誰もが実践可能なレベルまで標準化する。 次に、その教えを一人から十人、十人から百人へと、段階的に展開していく。 この拡張可能な学習システムこそが、組織全体の能力を底上げする唯一の方法論です。
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第五十五章:均兵

59
組織が持つリソース(人材、技術、資本)の価値は、決して絶対的なものではありません。 平時に最高の価値を持つものが、有事には足手まといになることすらある。 状況に応じて、各リソースの相対的な価値を見極め、常に最適な配分を行う。 これこそが、組織のパフォーマンスを最大化する、リーダーの腕の見せ所です。
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第五十六章:武車士

60
組織の命運を左右する重要なポジションには、決して妥協は許されません。 年齢、身体能力、専門技術…明確で極めて高い基準を設け、それをクリアした真のエリートのみを選抜する。 そして、その超一流の才能を繋ぎ止めるためには、最高の報酬と敬意(厚遇)が不可欠なのです。
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第五十七章:武騎士

61
組織の突破力は、一握りの「ゲームチェンジャー」によってもたらされます。 彼らには、単なる経験や知識ではなく、困難な状況で複雑なタスクを冷静に遂行できる、卓越した実践能力が求められる。 このような希少な才能を惹きつけ、活かすためには、最高の待遇と自由な環境が不可欠です。
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第五十八章:戦車

62
いかに強力な製品や技術(戦車)も、それ自体が成功を保証するわけではありません。 その真価は、市場環境(地形)と競合の状況を見極めることでのみ発揮されます。 自らの強みが通用しない「死地」を避け、その力が最大限に活きる「勝地」にリソースを集中させる。 この的確な状況判断こそが、勝利を導く鍵となるのです。
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第五十九章:戦騎

63
スピードと機動力は、それ自体が強力な武器ですが、同時に諸刃の剣でもあります。 その力を最大限に活かせる「勝ちパターン」と、逆に弱点となる「負けパターン」を熟知する。 そして、常に勝率の高い戦場を選び続けるリスク管理能力こそが、真のリーダーには求められるのです。
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第六十章:戦歩

64
リソースで劣る者が、機動力で勝る強者と戦うにはどうすればよいか。 正面からぶつかるのではなく、まず相手の強みを無力化する「環境」を意図的に作り出す。 移動式の障害物や塹壕で鉄壁の防御陣を築き、相手の土俵で戦わない。 これは、自らの弱点を知恵と工夫で補い、勝利を掴む、非対称戦の極致です。
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