六韜 第54章
第五十章:分険
この章のポイント(3行サマリー)
- 互いに牽制し合う膠着状態では、現状維持は衰退への第一歩です。
- リスクを恐れず、まずはこちらから行動を起こし、主導権を握ることが不可欠。
- 創意工夫で障害を乗り越え、反撃の拠点を築き、持続可能な体制で粘り強く攻め続ける。
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古典原文(書き下し文)
古典に興味のある方向け
重要キーワード解説
📜 分険(ぶんけん)
敵と味方が、山や川などの険しい地形を分け合って対峙している状態。膠着状態に陥りやすい。
📜 舟や橋がない場所で
舟や橋がない場所で、大軍を渡すための特殊な浮橋やいかだ。困難な状況を打開するための技術や工夫の象徴。
📜 野外に築かれた陣地や要塞
野外に築かれた陣地や要塞。この章では、渡河後に築く橋頭堡であり、反撃の拠点となる重要な施設を指す。
現代語訳
武王が太公望に尋ねた。「兵を率いて深く諸侯の地に入り、敵と険しい場所で遭遇した。私は左に山があり、右に水があり、敵は右に山があり、左に水があり、私と険しい場所を分けて対峙している。
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現代に活かすための「原理原則」
この膠着状態を打破する戦略は、現代の競合他社との激しい市場競争や、組織内の停滞した状況を打開する原理を示している。
- 主導権の獲得: 膠着状態では、相手の動きを待つのではなく、こちらから積極的に行動を起こす
- 創意工夫による突破: 既存の方法にとらわれず、独創的な手法で困難な状況を乗り越える
- 橋頭堡の確立: 小さな成功でも確実に足場を築き、そこを拠点として更なる拡大を図る
- 持続可能な攻勢: 一時的な攻撃ではなく、交代制や休息を組み込んだ持続可能な体制を構築する
- 全方位からの展開: 一点突破ではなく、左右中央から同時に攻めて敵の対応力を分散させる
現代への問いかけ
1. 競合他社との膠着状態や組織内の停滞した状況で、あなたは主導権を握る行動を取っているだろうか?
2. 困難な状況に直面した時、既存の方法にとらわれず、創意工夫で新しい解決策を見つけているだろうか?
3. 小さな成功でも確実に足場を築き、それを拠点として更なる発展を図る戦略を持っているだろうか?
4. 短期的な成果を求めるだけでなく、長期的に持続可能な取り組みを行っているだろうか?
5. 一つの分野だけでなく、複数の方向から同時にアプローチして、競争優位を築いているだろうか?