六韜 第10章
挙賢第十
この章のポイント(3行サマリー)
- 「賢者を登用する」と口で言うだけでは意味がない。
- 世間の評判や、社内の人気投票で人材を選べば、派閥が生まれ、組織は必ず腐敗する。
- 重要なのは、役職(名)と、その人物が持つ実際の能力(実)を、厳密に一致させること。
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古典原文(書き下し文)
古典に興味のある方向け
重要キーワード解説
📜 挙賢(きょけん)
賢者を推挙し、登用すること。
📜 名前や評判ばかりが先行し
名前や評判ばかりが先行し、実際の実力が伴っていない状態。組織にとって非常に危険な兆候。
📜 社内での人気や
社内での人気や、派閥の大きさ。実力ではなく、このような要素で評価が決まるようになると、組織は衰退する。
現代語訳
文王が太公望に尋ねた。「君主が賢者を登用しようと努めても、その功績を得ることができず、世の中はますます乱れ、国が危うくなるのはなぜか。」太公望は答えた。
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現代に活かすための「原理原則」
この人材登用の失敗とその対策に関する教えは、現代の人事評価システムの根本的な問題を明らかにしている。
- 名実一致の原則: 肩書きや評判ではなく、実際の能力と成果に基づいて人材を評価し、配置する
- 人気投票の危険性: 世間の評判や社内政治による人事は、組織の腐敗と衰退を招く
- 派閥政治の排除: 徒党や派閥による影響力を排除し、客観的な基準で人材を評価する
- 職務に基づく評価: 各職務に必要な能力を明確に定義し、それに基づいて人材を選定する
- 責任と権限の整合: 与えられた責任と実際の権限・能力を一致させることで、組織の効率性を高める
現代への問いかけ
1. あなたの組織では、人気や評判ではなく、実際の能力と成果に基づいて人材を評価しているだろうか?
2. 社内政治や派閥の影響を排除し、客観的で公正な人事評価システムを構築しているだろうか?
3. 各職務に必要な能力とスキルを明確に定義し、それに基づいて適材適所の配置を行っているだろうか?
4. 肩書きや名誉だけを与えて実権を伴わない「名ばかり管理職」を作っていないだろうか?
5. 人材の登用において、長期的な組織の発展を考え、真に実力のある人物を見極める目を持っているだろうか?