六韜 第19章

論将第十九

この章のポイント(3行サマリー)

  • リーダーの資質は、五つの才能(勇、智、仁、信、忠)で測られる。
  • しかし、これらの才能は、行き過ぎれば十の過ち(無謀、性急、強欲など)へと転じる諸刃の剣である。
  • 真に優れたリーダーとは、自らの強みと弱みを客観的に把握し、暴走を自制できる人物。
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古典原文(書き下し文)

古典に興味のある方向け

重要キーワード解説

📜 五材(ござん)

将軍が持つべき五つの才能。勇、智、仁、信、忠。

📜 五つの才能が

五つの才能が、それぞれ悪い方向に出た場合の十の過ち。才能と欠点は表裏一体であることを示す。

📜 リーダーは

リーダーは、組織や国家を支える重要な補佐役であるという考え方。リーダーの質が、組織の運命を左右する。

現代語訳

武王が太公望に尋ねた。「将軍を論じる道はどのようなものか。」太公望は答えた。

...(省略)
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現代に活かすための「原理原則」

論将篇の核心は、リーダーシップの二面性の認識と適材適所の人材配置、そして競合他者の弱点分析にあります。現代の組織運営において、人材の強みと弱みは表裏一体であり、適切な管理とチーム構成が成功の鍵となります。

「五材十過の法則」(強みの副作用管理):勇気は無謀になりやすく、知恵は臆病になりやすいなど、優秀な人材の長所は往々にして短所にもなり得ます。現代では、優秀な営業マンの積極性が押しつけがましさにならないよう、エンジニアの完璧主義が進捗の遅れにならないよう、バランスを取る管理が重要です。

「適材適所と弱点対策」(戦略的人事配置):各人材の特性を理解し、その弱点をカバーできる環境や相手を設定します。現代では、チーム編成や役割分担において、メンバーの強みを活かしつつ弱みを補完する組織設計が不可欠です。

「相手の弱点分析と対処法」(競合戦略):競合他社や交渉相手の特性を分析し、的確な対応策を講じます。現代のビジネスでは、顧客の性格や競合企業の特徴を理解し、それに応じた営業戦略やマーケティング手法を選択することが重要です。

「リーダー選抜の慎重さ」(重要ポジションの人事):組織の運命を左右する重要な役職への人事は、表面的な能力だけでなく、その人の本質的な特性を見極めて行う必要があります。現代では、管理職昇進や事業責任者の選任において、多面的な評価と長期的な視点での判断が求められます。

現代では、人事管理、チームビルディング、競合分析、リーダーシップ開発などに直接応用できる実践的な組織運営論です。

現代への問いかけ

1. あなたの強みが行き過ぎて弱みになってしまった経験はありませんか?それをどのように自制していますか?

2. チームメンバーの特性を理解し、それぞれの強みを活かしつつ弱みを補完する配置ができていますか?

3. 競合他社や交渉相手の特徴を分析し、相手の性格に応じた対応策を使い分けていますか?

4. 重要なポジションへの人事や判断において、表面的な評価ではなく本質的な特性を見極める眼を持っていますか?

5. 自分自身の「五材十過」を客観的に把握し、暴走を防ぐためのセルフマネジメントをしていますか?

【応用編】この「論将第十九」の教えを、現代でどう活かすか?

この章で学んだ知恵は、現代の様々な場面で応用できます。興味のある分野の記事を読んで、具体的な活用法を学びましょう。