六韜 第6章
六守第六
この章のポイント(3行サマリー)
- リーダーの最も重要な仕事は、人材を見極め、権限を委譲することにある。
- しかし、その前提として、富、地位、困難といった様々な状況で人を試し、その本質を見抜かなければならない。
- そして、経済の根幹をなす「三宝」は、決して他人に委ねてはならない。
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古典原文(書き下し文)
古典に興味のある方向け
重要キーワード解説
📜 六守(りくしゅ)
リーダーが守り、育てるべき六つの徳目(仁、義、忠、信、勇、謀)を持つ人材。
📜 国家の経済基盤となる三つの重要な産業(大農
国家の経済基盤となる三つの重要な産業(大農、大工、大商)。現代で言えば、組織のコアコンピタンスや、主要な収益源を指す。
📜 リーダーが決して手放してはならない権限や
リーダーが決して手放してはならない権限や、組織の根幹となる機能。これを他者に委ねると、組織の根幹が揺らぐという戒め。
現代語訳
文王が太公望に尋ねた。「国の君主、民の主たる者が、その地位を失うのはなぜか。」太公望は答えた。
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現代に活かすための「原理原則」
この人材管理と組織運営の教えは、現代のマネジメントと経営戦略に直結する原則を示している。
- 人材の本質を見抜く試練: 富、地位、権限、困難な状況で人を試すことで、その人の真の資質を見極める
- 六つの人材要素: 仁(道徳心)、義(正義感)、忠(忠誠心)、信(信頼性)、勇(勇気)、謀(戦略性)をバランスよく評価する
- コアコンピタンスの保持: 組織の根幹となる重要な機能や権限は、決して他者に委ねてはならない
- 適材適所の配置: 各分野の専門家がその役割に専念できる環境を整えることで、組織全体の効率性を高める
- 権力バランスの維持: 部下が上司を超える権力を持たないようにすることで、組織の統制を保つ
現代への問いかけ
1. あなたは人材を評価する際、様々な状況で相手を試して、その本質を見抜こうとしているだろうか?
2. 昇進や重要な任務を与える前に、その人の道徳心、正義感、忠誠心、信頼性、勇気、戦略性を十分に確認しているだろうか?
3. 組織の根幹となる権限や機能を、適切に自分で保持し、安易に他者に委ねていないだろうか?
4. チームメンバーがそれぞれの専門分野で能力を発揮できる環境を整えているだろうか?
5. 組織内の権力バランスを適切に管理し、統制の効いた健全な組織運営を行っているだろうか?