用衆第五
この章のポイント(3行サマリー)
- 組織の力は、メンバーの多様性をいかに活かすかにかかっている。
- 勇敢な者、慎重な者、知恵のある者、実直な者。
- それぞれの長所と短所を深く理解し、状況に応じて最適な組み合わせで配置する。
古典原文(書き下し文)
古典に興味のある方向け
重要キーワード解説
📜 用衆(ようしゅう)
多くの人々を用いること。組織のメンバーを効果的に活用し、その能力を最大限に引き出すためのマネジメント術。
📜 勇
勇、智、貪、廉、信など、人間が持つ五つの代表的な才能や性質。長所と短所は表裏一体であることを示す。
📜 役割
役割、分担。各メンバーの特性に応じて、ふさわしい任務やポジションを与えること。
現代語訳
およそ戦いは、多くの人々を用いることによって勝利とする。
多くの人々を用いることは、その将軍の能力にある。
将軍の能力は、その兵士の心を得ることにある。
現代に活かすための「原理原則」
司馬法の「用衆第五」は、多様な人材を活用する組織マネジメントの原則を示している。
個性と能力の活用:「勇者は、以て鋒と為すべし。智者は、以て謀と為すべし」という教えは、それぞれの人材の特性を理解し、最適な役割に配置することの重要性を示している。画一的な評価ではなく、個人の長所を活かせる場を提供することで、組織全体のパフォーマンスが向上する。
短所の管理:「其の長を使い、其の短を舎つ」という原則は、完璧な人材を求めるのではなく、短所を許容しながら長所を活かす方法を示している。欠点を補う体制を作ることで、多様な人材の力を結集できる。
心理的な動機付け:「其の情を察し、其の欲を満たし、其の功に報い、其の労を恤う」という教えは、人材マネジメントにおいて、論理的な管理だけでなく、感情的な側面への配慮が重要であることを示している。
状況適応の重要性:「材に常無し、地に常形無し」という原則は、固定的な組織構造や役割分担ではなく、状況に応じて柔軟に人材配置を変更する能力の重要性を示している。
リーダーの責任:「将の任、重からずということ無し」という教えは、組織の成果は最終的にリーダーの責任であり、人材の能力を最大限に引き出すことがリーダーの最も重要な任務であることを示している。